30th
石井氏は、講演終了後も場所を変えて1時間近く来場者の質問に答え続けた。IT企業のエンジニア、研究者、学生、中にはこの日のためにわざわざ関西からやってきた高校1年生も。なぜ、石井氏は彼ら一人ひとりと握手を交わし、名刺を交換し、珍問・奇問にも丁寧に答えたのか。
Q. 先生は一日何時間ぐらい寝ているんですか?
A. ほとんど寝てないな。椅子にもたれて寝て、起きてという繰り返し。
Q. 私は今高校生なんですが、今何をやれば先生のようになれますか?
A. 僕の原点は若山牧水と宮澤賢治。キミも文学書を読みあさるのがいいと思うよ。
Q. MITのプロフェッサーって給料はどのぐらいですか?
A. キミね、もっと本質的な質問をしなさい。給料? ま、驚くほど安いことはたしかだね。
Q. 将来、私もアメリカに留学したいんですが……。
A. Do you speak English? なに、TOEFL300点? それじゃダメだよ。英語は道具だけれど、それができなけりゃ、研究者のコミュニティに入れない。自分が表現したいことも伝えられないじゃないか。
Q. 先生はどうやって英語を勉強したんですか?
A. 学生時代は話せなかった。NTT時代に海外で研究発表するときに十分伝えられなくて悔しかった。それからはラジオではFEN、書物は英語の原書で、コピー作業の間も英会話のテープを離さず、という生活を徹底してやった。
Q. 私はメディアラボでインタラクティブ・アートを勉強したいと思うんですが、やはりコンピュータのプログラムもできないとダメですか?
A. メディアラボでは、アーティストであると同時にエンジニアでないとだめ。
Q. 先生の研究のどこに企業は関心をもつのでしょうか?
A. 企業は私の研究室が生み出す製品自体に興味があるわけじゃない。それよりも、私たちのパッション(情熱)やクリエイティビティに共感して投資をしてくれる。そう考えるとこの世界はまだまだ捨てたものじゃないよ。
Q. 先生はなぜ、こんなにたくさんの質問を受けつけるのですか?
A. それはキミたちが僕より確実に長生きするからさ。長生きする人たちに、僕の言葉を伝えておきたいからだよ。